Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

しかし、もしこれが自分の自然の姿であるなら、むしろ夢から早く醒めただけでも結構だと思った。たしかに、千鶴子と自分との交遊は事実あったことだったが、それも夢と等しいものだったと、思えば思い得られる自分の国の変化だった。またそれは同時に、自分自身の変化でもあるのだった。何がこのように変らしめたのか分らなかったが、パリにいたときの同じ思いを貫きつづけていても、水が氷になるように、いつの間にやら揺れ停って質の変っている自分であった。それは氷か水か、自分がどちらか分らなかったが。――

渋谷からは路も暗かったが、ライトの中に泛き出される繁みや看板など、矢代には見覚えのものが多くなった。どれも暫く見ぬ間にひどく衰えた姿になっていた。それでも彼は窓ガラスに額をあてて、迎えてくれる風物を見逃すまいと努力した。繰り顕われては走り去るそれら一瞬の光景が、どれも鄙びた羞しさで、顔を匿して逃げ走る生き物のように見えた。溝を盛り起して道路の上まで這い繁っている夏草の一叢の所で、矢代は車を降りた。自宅の門がもうすぐそこだった。

彼は門の引手をひき開ける手具合も、暫く不在のうち、度を忘れてつい大きな音を立てた。