Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

説くべきか、彼にはそれもパリ以来の気がかりなことの一つだった。分りよく妹には両親の家系の違いを話し、先祖の苦しみや歎きがどんな希いで自分たちの肉体に伝わっているかも話さねばならぬ。

矢代は引き下げている石榴の枝が少し高すぎたため、背伸びをしながらときどきふらついた。が、また枝をぐいと下げて石榴の皮の裂け目を手で拡げた。爆けこぼれた粒粒の二三が襟もとから胸の間へ忍び込むと、そこからまた腹まで沁み転げてゆく冷たさに、思わず彼は前に背を曲げて笑った。それでも、実を枝から※(「てへん+毟」、第4水準2-78-12)ぎ放して彼は食べようとしなかった。樹から繋がりのまま直接噛み破る酸味に口の周りの濡れるのが、これこそ故郷の味の一つだと思われて愉しかった。

粒の一つ一つの薄紅が朝日に射し映え複眼の玉となって犇めき詰っていた。その実の重さを受けると、貴重な陶器の握覚を感じ、矢代は一つで足らずすぐ次ぎの枝をまた引きよせた。華やかに群りよった実の重量で枝は房のように垂れ流れていた。鰯雲の尾を曳いた鮮明な空だった。石榴の隙間から見えるその空を仰向きに、実を食い破っている矢代に、燦爛たる朝の充実した光りが降り濺いでいた。