Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

そこへ妓生が純白の衣服で入って来ると、矢代の傍へ片膝を立てて坐った。歌の上手な人という註文を出してあったので、その妓生の歌は隣室の酒声を抑え、際立った美しい調子で暫く響いた。妓生の名は忘れたが東京へレコードの吹込みを頼まれて行ってから、帰ってまだ三日にもならぬと話しながら、彼女は何んとなく元気のない、悄然とした様子でチマの皺を摘んでいた。

「東京は初めて行ったの?」

矢代は自分も初めて外国から帰った当夜に、これも初めて東京から帰って来たばかりらしい妓生との巡り合せに興味を感じて訊ねてみた。

「初めてよ、あたしね、東京から京都、大阪と、今度は随分いろいろな所を見て来たわ。でも、神戸があたし一番好きだった。こんな美しい所が世の中にあったのかしらと思って、うっとりしてしまったわ。」

「神戸が?」

矢代は一寸意外な気持ちで訊き返した。

「ええ、神戸にはあたしすっかり感心したわ。ですからあたし、平壌へ帰っても、ここで一生自分が過さなくちゃならないんだと思ったら、もう元気も何も出なくなってしまったの。もう、早くお金を溜めて、田舎へ引き籠って一生暮そうと決心したの。」