Classiques japonais avec furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
今ごろ二本さして歩けるかというのだ。」
「二本さして悪けれや裸体になれ、日本人がまる見えだぞ。」
「ははははは。」
久慈は放れていたアンリエットの腕を小脇にかかえてヒステリックに笑うと、矢代に、
「君、もうここで別れよう。面白くなくなった。僕は今夜は一つ楽しみたいんだからね。」
「こうなって楽しめる奴は、楽しめよ。」
「じゃ、失敬、君のような阿呆にかかっちゃ、日本人も出世の見込みがなくなるだけだよ。」
「そんなに出世をしたいのか。」
と矢代は云うと、放れて行こうとする久慈の方を見詰めて立っていた。すると、突然、アンリエツトが矢代の傍へよって来た。
久慈は矢代の傍へ行こうとするアンリエットの腕を引きとめて、
「行こう行こう。」と引っぱった。
しかし、アンリエットは矢代に近づいて、
「あなたもいらっしゃいよ。」
と云いつつ矢代の腕をかかえると、右手に久慈の腕もかかえ、ルクサンブールの角を右に曲った。
「ドームへ行きましよう。まだ踊りには早いわ。」
「どうして君と僕とは、こんなに喧嘩ばかりするのかね。」
と久慈は苦笑をもらして矢代に云った。
「そんなことはパリに聞け。俺に感心した奴は、もう死んでる奴だといってるじゃないか。