Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
「あの女の方は美しい方ね。でも、帯留が何んだか妙だったわ。」
「どんな方?」
と母は訊ねた。
「ほら、兄さん、何んだか前へ動いて云ってた方があったじゃありませんか。モーニングだのにネクタイだけはぱッとハイカラな方よ。その方と御一緒の女のかた。」
幸子は言外にも鋭い眼差で母を見詰めて云ったが、母は、ただ、「はア」と頼りなげな声を洩したのみだった。
「あの二人は火葬場まで行ってくれたんだよ。今度来たときはお礼を忘れないでくれないか。」
仏前の蝋燭の明りが急に大きく揺れ出したので、芯を切りに立つついでに、矢代はそう云うと千鶴子の手紙のことも思い出し、自分の部屋へ入っていった。手紙の内容は別に取り立てたことではなく、侯爵邸の夜会で矢代と別れた後の模様が書いてある後で、今日は母が何んとなく自分に優しくしてくれるので嬉しくて、この手紙を書く気になったとだけあった。しかし、彼は「何んとなく今日は母が優しくしてくれるので」という簡単な文句が、温む水の霞んで来るような好い感じで読み終った。彼は記念のために、先夜読んだ藤原基経に関する史書の頁の部分へその手紙を挟んだ。
「寛平三年正月十三日、藤原基経歿す」