Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

船体を着実によせて来た。鉄板から滴るような潮の香が歩廊の方まで漂った。飛び散って逃げた小船もまた急いで近より、もう荷揚げの支度にとりかかるものもあった。甲板上の船客の顔を探すものも、目的物を見つけたものらは、再び顔を充血させて帽子を激しく振り廻した。どよめきが次第にあちこちから膨れ上って来るにつれ、船は歩廊の高さを遥かに抜いてぴたりと動き停った。纜を投げかけたり、船梯を懸けたりする多忙な中でも、出迎えのものらの熱情的な騒ぎは一層激しくなったが、それに引きかえ船上の客は、妙に冷く静り返っているように見えるのが、この日もこの埠頭の特長であった。

「いるいる。おーい。」

と塩野はまっさきに平尾男爵の姿を甲板から見つけて呼んだ。間近いように見えていても、船上との間隔はかなり離れている上に、周囲のどよめきに船まで塩野の声はとどかなかった。男爵は外人たちと列んでいてもそれらを圧するほど体が大きくく、ゆったりと鷹揚な身振りで片手を上げたが、まだ一同を探しあてない様子だった。その横から、いつもの無表情な東野が唇を割り、日に焦げた色で、こちらを見ていた。真紀子の姿は初めは見えなかったが、暫くして、前髪を高く締め上げた色白の婦人が東野の肩に片手をかけて、ひょっこり男爵との間から顔を出した。