Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
にほんにおけるくりっぷんじけん
日本に於けるクリップン事件
谷崎 潤一郎
Lisez 日本に於けるクリップン事件 (にほんにおけるくりっぷんじけん) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 290 caractères · 21 écrans
芝居や狂言はいつも同じ所作を演じたのでは面白くない。絶えず新奇な筋を仕組み、俳優を変え、目先を変えて、やってみたい気にもなるであろう。マゾヒストが一とたびそういう願望に燃え、何とかして古き相手役、古き人形を遠ざける必要に迫られた時には、マゾヒストであるがために、かえって恐ろしい犯罪に引き込まれがちであり、そうしてまた、普通の人より一層容易にそれを為し遂げ得ることは、読者にも想像が出来るであろう。なぜなら彼は彼の病的な本能の故に、たとえ内心では相手を嫌うようになっても、嫌忌の情を男らしく、堂々と表白することを欲しない。欲しないのみならず、彼の性質としては先天的にそれが出来ない。もうこの女はイヤだと思いながら、女が依然として暴威を振って、彼を叱ったり殴ったりすると、やはりその刹那は、その快感に負かされて誘惑される。彼の弱点を握っている女は、全く油断をし、心を許し、いよいよ傲慢な態度を続ける。男はセッパ詰まる所まで誘惑に引き擦られて行き、そのためになお胸中に憎悪を貯え、だんだんあがきがつかなくなって、結局何か陰険な方法で、相手の女を除き去るよりほかに手段がなくなってしまう。