Classiques japonais avec furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lisez 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 545 caractères · 140 écrans
仲平は訃音を得て、すぐに大阪を立って帰った。
その後仲平は二十六で江戸に出て、古賀庵の門下に籍をおいて、昌平黌に入った。後世の註疏によらずに、ただちに経義を窮めようとする仲平がためには、古賀より松崎慊堂の方が懐かしかったが、昌平黌に入るには林か古賀かの門に入らなくてはならなかったのである。痘痕があって、片目で、背の低い田舎書生は、ここでも同窓に馬鹿にせられずには済まなかった。それでも仲平は無頓着に黙り込んで、独り読書に耽っていた。坐右の柱に半折に何やら書いて貼ってあるのを、からかいに来た友達が読んでみると、「今は音を忍が岡の時鳥いつか雲井のよそに名のらむ」と書いてあった。「や、えらい抱負じゃぞ」と、友達は笑って去ったが、腹の中ではやや気味悪くも思った。これは十九のとき漢学に全力を傾注するまで、国文をも少しばかり研究した名残で、わざと流儀違いの和歌の真似をして、同窓の揶揄に酬いたのである。
仲平はまだ江戸にいるうちに、二十八で藩主の侍読にせられた。そして翌年藩主が帰国せられるとき、供をして帰った。
今年の正月から清武村字中野に藩の学問所が立つことになって、工事の最中である。