Classiques japonais avec furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lisez 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 545 caractères · 140 écrans
他人同士では、こういう話を持ち出して、それが不調に終ったあとは、少くもしばらくの間交際がこれまで通りに行かぬことが多い。親戚間であってみれば、その辺に一層心を用いなくてはならない。
ここに仲平の姉で、長倉のご新造と言われている人がある。翁はこれに意中を打ち明けた。「亡くなった兄いさんのおよめになら、一も二もなく来たのでございましょうが」と言いかけて、ご新造は少しためらった。ご新造はそういう方角からはお豊さんを見ていなかったのである。しかしお父うさまに頼まれた上で考えてみれば、ほかに弟のよめに相応した娘も思い当らず、またお豊さんが不承知を言うにきまっているとも思われぬので、ご新造はとうとう使者の役目を引き受けた。
川添の家では雛祭の支度をしていた。奥の間へいろいろな書附けをした箱を一ぱい出し散らかして、その中からお豊さんが、内裏様やら五人囃しやら、一つびとつ取り出して、綿や吉野紙を除けて置き並べていると、妹のお佐代さんがちょいちょい手を出す。「いいからわたしに任せておおき」と、お豊さんは妹を叱っていた。
そこの障子をあけて、長倉のご新造が顔を出した。