Classiques japonais avec furigana
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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
Lisez 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 545 caractères · 140 écrans
劈頭に御新造は主題を道破した。
「まあ、どこから」
「およめさんですか」
「ええ」
「そのおよめさんは」と言いさして、じっとお豊さんの顔を見つつ、「あなた」
お豊さんは驚きあきれた顔をして黙っていたが、しばらくすると、その顔に笑みがたたえられた。「でしょう」
「本当です。わたしそのお話をしに来ました。これからお母あさまに申し上げようと思っています」
お豊さんは手拭いを放して、両手をだらりと垂れて、ご新造と向き合って立った。顔からは笑みが消え失せた。「わたし仲平さんはえらい方だと思っていますが、ご亭主にするのはいやでございます」冷然として言い放った。
お豊さんの拒絶があまり簡明に発表せられたので、長倉のご新造は話のあとを継ぐ余地を見いだすことが出来なかった。しかしこれほどの用事を帯びて来て、それを二人の娘の母親に話さずにも帰られぬと思って、直談判をして失敗した顛末を、川添のご新造にざっと言っておいて、ギヤマンのコップに注いで出された白酒を飲んで、暇乞いをした。
川添のご新造は仲平贔屓だったので、ひどくこの縁談の不調を惜しんで、お豊にしっかり言って聞かせてみたいから、安井家へは当人の軽率な返事を打ち明けずにおいてくれと頼んだ。