Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あべいちぞく

日本の文学 3 森鴎外(二)

森 鴎外

Lisez 日本の文学 3 森鴎外(二) (あべいちぞく) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 68 545 caractères · 140 écrans

Aozora Bunko

お佐代さんが亡くなってから六箇月目に、仲平は六十四で江戸城に召された。また二箇月目に徳川将軍に謁見して、用人席にせられ、翌年両番上席にせられた。仲平が直参になったので、藩では謙助を召し出した。ついで謙助も昌平黌出役になったので、藩の名跡は安政四年に中村が須磨子に生ませた長女糸に、高橋圭三郎という壻を取って立てた。しかしこの夫婦は早く亡くなった。のちに須磨子の生んだ小太郎が継いだのはこの家である。仲平は六十六で陸奥塙六万三千九百石の代官にせられたが、病気を申し立てて赴任せずに、小普請入りをした。

住いは六十五のとき下谷徒士町に移り、六十七のとき一時藩の上邸に入っていて、麹町一丁目半蔵門外の壕端の家を買って移った。策士雲井龍雄と月見をした海嶽楼は、この家の二階である。

幕府滅亡の余波で、江戸の騒がしかった年に、仲平は七十で表向き隠居した。まもなく海嶽楼は類焼したので、しばらく藩の上邸や下邸に入っていて、市中の騒がしい最中に、王子在領家村の農高橋善兵衛が弟政吉の家にひそんだ。須磨子は三年前に飫肥へ往ったので、仲平の隠家へは天野家から来た謙助の妻淑子と、前年八月に淑子の生んだ千菊とがついて来た。