Classiques japonais avec furigana
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じょきゅう
日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
細井 和喜蔵
Lisez 日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集 (じょきゅう) de 細井 和喜蔵 (ほそいわきぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 732 caractères · 33 écrans
泣き度いほど情なかった。で、黙って俯向いていると再び主人は繰り返した。
「その着物で来るのじゃないでしょう?」
「あたし、暫く働かせて戴いてから拵えようと思って居りますが、今の処はこれ一枚っきり無いのです。」
流石に大きい声では言えなかった。すると主人は、
「それは困ったねえ、なにしろ場所が場所だからそのなりではね……来て欲くも来て貰えませんよ。」と断るのであったが、その声がうらめしくて腹立たしかった。
いろいろ思い回えして見れば、女工や鉱婦や淫売婦達が虐げられている事実など空ふく風に、華やかな電燈の下で音楽と酒と白粉の香に陶酔して、制度の桎梏も、生活苦も知らずに幸福な夢をむさぶっているように見えるウェイトレスの生活も、余りに悲惨な存在である。
傭主は彼女達を言いようも無く不当に圧迫して居る。道徳(新しい道徳でも旧い道徳でも、)上からこれを観る時は工場主以上に搾取して居る。むしろ吸血鬼である。工場は兎に角彼女達に神聖な労働を強いて、その中から幾分の剰余価値をはねようとするのだから人間を働かせるということだけは倫理上正しくてまだ優い点がある。併し乍ら、旅館や飲食店等は婦女子の生命にかえて貴いものを看板に使って剰余価値どころでは無く総ての価値を没収して了うのだからその行為たるや憎んでも飽きたらぬのである。