Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あねがわのかっせん

日本合戦譚

菊池 寛

Lisez 日本合戦譚 (あねがわのかっせん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 154 771 caractères · 313 écrans

Aozora Bunko

当時は、美少年尊重の世であったから、忽ち衆人讃仰の的となった。この弱冠の一美少年こそは、切利支丹一揆の総帥となった天草四郎時貞である。

当時島原一円の領主であった松倉重次は惰弱の暗君で、徒らに重税を縦にした。宗教上の圧迫も残虐で宗徒を温泉(雲仙嶽)の火口へ投げ込んだりした。領主の暴政に、人心離反して次第に動揺し、流言蜚語また盛んに飛んだ。――病身がちであった将軍家光は既に薨じているが、未だ喪を発しないのだとか、この冬には両肥の国に兵革疫病が起って、ただ天主を信ずる者丈が身を全うし得るであろうとか、紛々たる流言である。四郎時貞が父と共に住居して居る大矢野島に並んだ千束島に、大矢野松右衛門、千束善右衛門、大江源右衛門、森宗意、山善左衛門と云う五人の宗門長老の者達が居た。これ等はこの島に隠れる事二十六年、熱心な伝道者であったが、嘗つては益田好次同様豊臣の恩顧を受けた者である。

この年の夏彼等は人心の動揺に乗じて、「慶長の頃天草上津浦の一伴天連が、国禁によって国外へ追放された時の遺言に、今より後二十六年、天帝天をして東西の雲を焦さしめ、地をして不時の花を咲かしめるであろう。