Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Lisez 日本婦道記 (にほんふどうき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 672 caractères · 20 écrans

Aozora Bunko

松子は本多平八郎忠勝のむすめで、内大臣家康の養女ぶんとして信之に嫁してきた、氏からいっても育ちからいっても、武将の妻として留守城をあずかる覚悟にいまさらおくれのある筈はない、ことにかの女はおとこまさりの生れつきで、小太刀、なぎなた、馬術などで鍛えた堅固な志操をもっていた。たとえ良人がいなくとも、守兵が百騎に足らぬ数でも、幼い二人の子をかかえていても、万一のときの心そなえはきまっている、そこに微塵のゆるぎもないことは自分によくわかっていた。――そう信じていたのに、やはり心のどこかにはみれんなものがひそんでいたのだ、かの女は書いていた文の上にじっと眼をそそぎながら自分をかえりみた。――いま蛾をすくいあげた時、ただ哀れだと思うだけでなく、良人の無事わが子の息災を托す気持があった。つねには身のふるえるほど嫌いな虫のいのちに、われ知らずおのれの幸運をたのむ心がうごいたのだ、このように小さなとるにも足らぬことのなかにこそ「覚悟」のほどがあらわれる。こんなことではいけない、もっともっと気をひきしめなければだめだ。松子は自分を鞭うつような気持で、眼をつむり唇を噛みしめながらじっと息をひそめていたが、なかなか胸がしずまろうとしなかった、それでそっと机の前を立ち、子供たちの寝所をみにいった。