Classiques japonais avec furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lisez 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 678 caractères · 394 écrans
二人の鵜匠にあやつられている鵜は、水の中に潜っては浮きあがり、浮きあがっては潜って魚を獲った。鵜の口を逃れた魚はきらきらと腹をかえして、中には飛ぶのもあった。そして、鵜が四五尾の魚を喉に入れたと思う比を見はからって、鵜匠は手縄を曳いて舟に曳き寄せ、ぐいとその喉を絞って魚を執るのであった。魚を吐かされてまた魚を覘って往く鵜の眼は青く澄んでいた。
五六艘の鵜飼舟が云いあわしたように一列になった。舟乗りとなっている男は大きな声で云った。
「もうよかろう、それ位ありゃ、肴にゃ十分じゃ、いいかげんに、無益な殺生はやめようじゃないか」
すると工となっていた背の高い男が云った。
「そうじゃ、そうじゃ、無益な殺生はやめよう、やめて早う一杯やろう」
舳の鵜匠はちょとふり返って中の鵜匠の顔を見て、
「そうじゃなあ、これ位ありゃ、肴は十分ある」
と云った。中の鵜匠はすぐ応じた。
「やめてもよかろう、やめて別院の下の涼しいところへ往って、一杯やるとしょうか」
舳の鵜匠はまた云った。
「よかろう、別院の下なら涼しかろう」
二人の鵜匠は手縄を曳いて鵜を舟にあげた。労役を終った鵜は嬉しそうにそれぞれ羽ばたきをして、大きな喉を川風にふくらました。