Classiques japonais avec furigana
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はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Lisez 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 640 caractères · 21 écrans
蜻蛉の辰が饂飩屋なぞと嘘を言って人にかくれて駕籠を担いでいる夜の稼ぎを怪しいと見た早耳三次が、半日ぐっすり寝込んで気を養い、暮るに早い冬の陽が上野の山に落ちたころ、腹掛法被に※襠という鳶まがいの忍び装束で茶屋町近くに張込んでいるとこれも身軽に扮った蜻蛉の辰が人目を憚るように出て来て、東仲町を突き当った誓願寺の裏へ抜けた。あの辺いったいは東光院称往院天岳院、左右が海全寺に日林寺、そのまたうしろは幸竜寺万祷寺知光院などとやたらに寺が多かった。辰が天岳院前の樹下闇に立停まると、そこに男が一人駕籠を下ろして待っていた。三次が遠くから透かし見たところでは、痩形の、身長の高い若い駕籠屋であった。二人は別に挨拶もせずに、そのまま駕籠を上げて安部川町の方へ辻待に出向いて行った。空駕籠の揺れぐあいから後棒の辰はもちろん、先棒の男もまだ腰ができていないのを、三次は背後から見ながら随いて行った。お書院組の前まで来ると客がついた。それから二人は本式に息杖を振って、角ごとに肩をかえながら、下谷の屋敷町を真直に小普請手代を通り過ぎて、日光御門跡から湯島の切通しを今は春木町の方へ急いでいるのだった。