Classiques japonais avec furigana
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ほしあかり
星あかり
泉 鏡花
Lisez 星あかり (ほしあかり) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 178 caractères · 9 écrans
、鮮な形で、ありのまま衝と消えた。
今は最う、さっきから荷車が唯辷ってあるいて、少しも轣轆の音の聞えなかったことも念頭に置かないで、早くこの懊悩を洗い流そうと、一直線に、夜明に間もないと考えたから、人憚らず足早に進んだ。荒物屋の軒下の薄暗い処に、斑犬が一頭、うしろ向に、長く伸びて寝て居たばかり、事なく着いたのは由井ヶ浜である。
碧水金砂、昼の趣とは違って、霊山ヶ崎の突端と小坪の浜でおしまわした遠浅は、暗黒の色を帯び、伊豆の七島も見ゆるという蒼海原は、ささ濁に濁って、果なくおっかぶさったように堆い水面は、おなじ色に空に連って居る。浪打際は綿をば束ねたような白い波、波頭に泡を立てて、どうと寄せては、ざっと、おうように、重々しゅう、飜ると、ひたひたと押寄せるが如くに来る。これは、一秒に砂一粒、幾億万年の後には、この大陸を浸し尽そうとする処の水で、いまも、瞬間の後も、咄嗟のさきも、正に然なすべく働いて居るのであるが、自分は余り大陸の一端が浪のために喰欠かれることの疾いのを、心細く感ずるばかりであった。
妙長寺に寄宿してから三十日ばかりになるが、先に来た時分とは浜が著しく縮まって居る。