Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はる

春

岡本 かの子

Lisez 春 (はる) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 864 caractères · 48 écrans

Aozora Bunko

そのうちにもお民は京子が気になり出して、そっと横丁の古い石垣から半顔出して京子の動静を窺った。

京子は前こごみにせっせと行く。冬でも涼しい緑色の絹絞りが好きで、奥様も、よく次から次へと作って上げる。だがその上から引掛けに黒地に赤しぼりの錦紗羽織の肩がずっこけて居る。縫い直して上げようか、と考えながらお民は京子の歩行を熱心に見て居る。と京子はぴたりと停ち止まった。お民が隠れて居る所から一丁半も向うの此の屋敷町が直角に曲る所に、赤塗りポストの円筒が、閑静な四辺に置き忘れられたように立って居る。そのポストの傍で京子は改めて気急わしく四方を見廻す。

京子の眼が少し据って凄味を帯びる。丁度あたりに人影が無い。彼女は素早く右手で懐中から手紙らしいものを取出し、ポストの口へ投げ込んだ。それから一度右手を引いたが今度は指を投函口の中へ出来るだけ深く突込んで、根気よく中を探る様子、暫くして指を引き出し、今度はまたポストの口を丹念に覗き込んだ。これは此頃、殆ど毎日のように京子が繰り返す同一動作なのだ。一週間ばかり以前から、珍しくもない京子の動作なのだ。でも、今迄、お民は別に気にも留めず、普通の人が手間取って手紙を出す位にしか、その京子の動作を考えて居なかった。