Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はる
春
豊島 与志雄
Lisez 春 (はる) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 464 caractères · 21 écrans
お梅は今もやはり家で働いているかしら……。彼女は恐らく手紙も書けまい。こちらからも手紙は出せない。そしてもうあれきりのことだ。何という強健な、だが、息苦しい……。
そこで和田弁太郎は眉をしかめるのである。何かしら不気味な汚れたものにぶつかった気持である。
いつのまにか、向うの窓には白い顔の群が消えてしまっている。けれど空耳かしら、合唱の歌声はまだその辺の空中に残っている。清らかな香わしい杳かなものに、心が囚えられてゆく。
そしてやはりいつまでも、和田弁太郎は夢想に耽るのである。睡眠不足の熱っぽい頭は、明確な観照をぼかして、そういう馬鹿げた夢想に適するのである。
そういう彼を、不意に同室の誰かが襲うことがある。
「おい、どうしたんだ。」とぽんと肩を叩いて、皮肉な微笑を馴れ馴れしく見せつける。「また例の、プラトニック・ラヴかね。もう誰もいやしないじゃないか。」
和田弁太郎は既に先刻から、向うの建物の窓に誰もいないことを知っている。然し明らさまに云われると、おもわずかっとなる。プラトニック・ラヴという言葉が第一気に喰わないのである。カフェーなんかに入りびたってるくせに、という腹もある。