Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はるのとうぞく
春の盗賊
Lisez 春の盗賊 (はるのとうぞく) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 212 caractères · 58 écrans
という名前にして発表したなら、あんな、なごやかな晩年を享受できたかどうか、疑わしい。
私小説を書く場合でさえ、作者は、たいてい自身を「いい子」にして書いて在る。「いい子」でない自叙伝的小説の主人公があったろうか。芥川龍之介も、そのような述懐を、何かの折に書き記して在ったように記憶する。私は事実そのような疑問にひっかかり、「私」という主人公を、一ばん性のわるい、悪魔的なものとして描出しようと試みた。へんに「いい子」になって、人々の同情をひくよりは、かえって潔よいことだと思っていた。それが、いけなかったのである。現世には、現世の限度というものが在るらしい。メリメ、ゴオゴリほどの男でも、その生存中には、それを敢えてしなかったし、後世の人こそ、あの小説の悪魔は、ゴオゴリ自身であるとか、メリメその人の残忍性であるとか評して、それはもう古典になれば、どちらでもかまわないことなのである。けれども、メリメにしろ、ゴオゴリにしろ、――また、いま、ふと頗る唐突に思い浮んだのであるが、シャトオブリアン、パスカルほどの大人物でも、――どのように、その時代の世評を顧慮し、人しれぬ悪戦苦闘をつづけたことか、私はそれに気がつき、涙ぐましくさえなるのだ。