Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 663 caractères · 97 écrans
二階をちょいと借りるぜ。好いかい」
彼は先に立って狭い二階にあがった。二階は六畳ひと間で、うす暗い隅には葛籠などが置いてあった。おじさんも後からつづいてあがって、小幡の屋敷の奇怪な出来事について詳しく話した。
「どうだろう。うまくその幽霊の正体を突き止める工夫はあるまいか。幽霊の身許が判って、その法事供養でもしてやれば、それでよかろうと思うんだが……」
「まあ、そうですねえ」と、半七は首をかしげてしばらく考えていた。「ねえ、旦那。幽霊は、ほんとうに出るんでしょうか」
「さあ」と、おじさんも返事に困った。「まあ、出ると云うんだが……。私も見たわけじゃない」
半七はまた黙って煙草をすっていた。
「その幽霊というのは武家の召使らしい風をして、水だらけになっているんですね。早く云えば皿屋敷のお菊をどうかしたような形なんですね」
「まあ、そうらしい」
「あの御屋敷では草双紙のようなものを御覧になりますか」と、半七はだしぬけに、思いも付かないことを訊いた。
「主人は嫌いだが、奥では読むらしい。じきこの近所の田島屋という貸本屋が出入りのようだ」
「あのお屋敷のお寺は……」
「下谷の浄円寺だ」