Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 663 caractères · 97 écrans
化け物の話はこういう晩がいいもんだ。しかしお前は臆病だからなあ」
実際わたしは臆病であった。それでも怖い物見たさ聞きたさに、いつも小さいからだを固くして一生懸命に怪談を聞くのが好きであった。殊に年来の疑問になっているおふみの一件を測らずもおじさんの方から切り出したので、わたしは思わず眼をかがやかした。明るいランプの下ならどんな怪談でも怖くないというふうに、わざと肩をそびやかしておじさんの顔をきっとみあげると、しいて勇気をよそおうような私の子供らしい態度が、おじさんの眼にはおかしく見えたらしい。彼はしばらく黙ってにやにや笑っていた。
「そんなら話して聞かせるが、怖くって家へ帰られなくなったから、今夜は泊めてくれなんて云うなよ」
まずこう嚇して置いて、おじさんはおふみの一件というのをしずかに話し出した。
「わたしが丁度二十歳の時だから、元治元年――京都では蛤御門のいくさがあった年のことだと思え」と、おじさんは先ず冒頭を置いた。
その頃この番町に松村彦太郎という三百石の旗本が屋敷を持っていた。松村は相当に学問もあり、殊に蘭学が出来たので、外国掛の方へ出仕して、ちょっと羽振りの好い方であった。