Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 47 663 caractères · 97 écrans
半七は岡っ引の子ではなかった。日本橋の木綿店の通い番頭のせがれに生まれて、彼が十三、妹のお粂が五つのときに、父の半兵衛に死に別れた。母のお民は後家を立てて二人の子供を無事に育てあげ、兄の半七には父のあとを継がせて、もとのお店に奉公させようという望みであったが、道楽肌の半七は堅気の奉公を好まなかった。
「わたくしも不孝者で、若い時には阿母をさんざん泣かせましたよ」
それが半七の懺悔であった。肩揚げの下りないうちから道楽の味をおぼえた彼は、とうとう自分の家を飛び出して、神田の吉五郎という岡っ引の子分になった。吉五郎は酒癖のよくない男であったが、子分たちに対しては親切に面倒を見てくれた。半七は一年ばかりその手先を働いているうちに、彼の初陣の功名をあらわすべき時節が来た。
「忘れもしない天保丑年の十二月で、わたくしが十九の年の暮でした」
半七老人の功名話はこうであった。
天保十二年の暦ももう終りに近づいた十二月はじめの陰った日であった。半七が日本橋の大通りをぶらぶらあるいていると、白木の横町から蒼い顔をした若い男が、苦労ありそうにとぼとぼと出て来た。男はこの横町の菊村という古い小間物屋の番頭であった。