Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans

Aozora Bunko

かれはいうまでもない、お定であった。

吉助は茶店のなかに縊られていた。お定は番屋へ引っ立てられると、もう尋常に覚悟を決めてしまったらしく、何もかも素直に白状した。

お定は以前板橋で勤め奉公をしていた者で、かの石原の松蔵の情婦であった。土地の大尽を踏み台にして身請けをされて、そこから松蔵のところへ逃げ込んで、小一年も一緒に仲よく暮らしているうちに、男は詮議がだんだんむずかしくなって来たので、女にも因果をふくめて、一旦江戸を立退こうとするところを、高輪で室積藤四郎の手に捕われた。それに加勢して草履を投げた伊勢屋のお駒は御褒美を賜わった。その評判が江戸じゅうに伝わると、お定は男の不運を悲しむと共に、伊勢屋のお駒を深く怨んだ。捕り方は役目であるから是非もないが、素人のお駒が要らざる加勢をしたために、男は遂に逃げ損じたのである。彼女は松蔵が死罪ときまった日に、お駒に対する根強い復讐の決心をかためた。男の死体をひそかに引き取って、自分の菩提寺にそっと埋葬して貰って、その命日にはかならず参詣していた。

相手が勤めの女である以上、かれに近寄るには伊勢屋へ入り込むよりほかはないので、勤めあがりのお定はすぐに下新造に住み込むことを考えた。