Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
「なにしろ、ここもむやみに開けてくるらしいね。江戸より面白いことがあるだろう」
「まったく急に開けて来たのと万国の人間があつまって来るのとで、随分いろいろの変った話がありますよ」
この間もロシアの水兵が二人づれで、神奈川の近在へ散歩に出て、ある百姓家で葱を見つけて十本ほど買うことになったが、買い手も売り手も詞が通じないので、手真似で対談をはじめた。売り手の方では相手が異人であるから、思うさま高く売ってやれという腹で、指を一本出してみせた。それは一分というのであった。それに対して買い手は一両の金を出した。指一本一両と思ったのである。売り手もさすがにびっくりして、それでは違うと首をふってみせると、買い手の方ではまだ不承知だと思ったらしい。その一両をなげ出して、十本の葱を引っかかえて逃げ出した。売り手はいよいよおどろいて、違う違うと叫びながら追ってゆくと、近所の者がそれを聞きつけて駈けあつまって来たので、買い手はいよいよ狼狽して、一生懸命に逃げ出した。水兵のひとりは浅い溝川へ滑り落ちて、泥だらけになって這いまわって逃げた。葱十本を一両に売って、しかも買い手が命からがら逃げてゆくなどということは、ここらでも前代未聞の椿事と噂された。