Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
かれの白状は嘘でもないらしかった。
「十露盤絞りをかぶっていたのは若い野郎だな。どんな装をしていた」
「双子の半纏を着ていました」
唯それだけのことでは、怪しい男の身もとを探り出すのはむずかしかった。双子の半纏をきて十露盤しぼりの手拭をかぶった男は、そのころ江戸じゅうに眼につく程にたくさんあった。半七はいろいろに定吉を詮議したが、どうしてもその以上の特徴を発見することは出来なかった。
工夫に詰まって、半七は更に紋七をよび出して調べた。紋作には叔母があるかと訊くと、紋七は有ると答えた。ほかの者には隠していたが、兄弟子の自分には曾て話したことがある。それは紋作が末の叔母で、十六の年から或る旗本の大家へ妾奉公に上がっていたが、今から七年ほど前にその主人が死んだので、根岸の下屋敷の方へ隠居することになった。本来ならば主人の死去と同時に永の暇ともなるべき筈であるが、かれの腹から跡取りの若殿を生んでいるので、妾とはいえ当主の生母である以上、屋敷の方でも、かれを疎略に扱うことは出来なかった。かれは下屋敷に移されて何不足なく暮らしていた。
物堅い武家に多年奉公していた叔母は、自分の甥に芸人のあることを秘していた。