Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
どこまでも附き纒おうとする彼女の執念におどろきながら、澹山はなにげなく答えた。
「自然そういうことになりましたら、ぜひ御案内をねがいます。わたくしは御承知の通り、奥州の方角は一向不案内ですから」
庭の雨戸を軽くことことと叩くような物音がきこえた。雪の音らしくないので、二人は話をやめて思わず顔を見あわせると、その物音は又きこえた。おげんは初めて起ち上がって縁側へ出ると、澹山は片手をのばして行燈をひき寄せた。
「どなた、誰です」と、おげんは障子をあけながら声をかけた。
外ではなんの返事もなかったが、雨戸をたたくような音はつづけて聞えた。おげんも根負けがして、雨戸を細目にあけながら、雪明かりの庭先をのぞいたかと思うと、忽ちあっと叫んで座敷へ転げ込んで来て、澹山の膝のうえに半分倒れかかりながら、彼を掩うように両手をひろげた。澹山はすぐに手近の行燈を吹き消した。それとこれと殆ど同時に、ひと筋の手槍が暗いなかを縫ってきて、おげんの胸を突き透した。つづいて颯という太刀風が彼女の小鬢をななめに掠めて通った。
澹山はもうその時、おげんの背後にはいなかった。彼は早くも飛びさがって蝙蝠のように横手の壁に身をよせて息をのみ込んでじっと窺っていると、槍と刀とは空を突き、空を撃って、暗い座敷を二、三度流れたが、おげんの悲鳴を聞きつけ