Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(三)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans

Aozora Bunko

しかしこの領分ざかいを越えましたなら、きょうから数えて二十一日、娘の三七日の済むまでは、どうぞ其処に御逗留なさるように願います。きっと何かあなたのお耳にはいることがござりましょう」

餞別の金や土産などをたくさん貰って、澹山はおげんの葬式のすんだ翌日に千倉屋を出発した。これがもうこの春の名残りらしい細かい雪が、けさも彼の笠の上にちらちらと降っていた。伝兵衛も伝四郎も町はずれまで送って来た。千倉屋の若い者二人は彼の警固をかねて領ざかいまで附き添って来た。

隣国の他領へはいって、千倉屋から指定された宿屋に草鞋をぬいで、澹山は約束の三週間をここに逗留することになった。三月も半ばになって、ここらの雪もあたたかい春の日にだんだん解けはじめた頃に、隣国の用人の若い伜が、何者かに闇討ちにされたという噂がここまで聞えたので、澹山は初めて重荷をおろしたような心持になって、そのあくる日に出発した。

江戸へ帰る途中で、彼は再び房川の渡しを越えるときに、おげんがここで自分の手に救われたのが仕合わせであったか不仕合わせであったかということを考えた。彼は北にむかって、ひそかに千倉屋の娘の冥福を祈った。