Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
と、半七は歩きながら云った。
勘蔵は黙っていた。
「あの娘には情夫でもあるかえ」
「存じません」
「知らねえことがあるもんか」と、半七はあざ笑った。「橋場の親類の家にいるじゃあねえか。熊が出るなんて詰まらねえ囈言を云って、娘はもう一度橋場へやって貰おうという算段だろう。火事が取り持つ縁とは、とんだ八百屋お七だ。自分の家へ火をつけねえのが見付け物よ。又その味方になる振りをして誘い出す奴も誘い出す奴だ」
勘蔵はやはり黙ってうつむいていた。
「去年の暮に、備前屋の内風呂が傷んだので、娘はおまえの湯へ来たそうだな」と、半七はまた笑った。「そのときにお前が背中を流してやったか。容貌は好し、年ごろの箱入り娘の肌ざわりはまた格別だからな。とんでもねえ粂の仙人が出来上がったものだ。なるほど命賭けで荒熊にむしり付くのも無理はねえ。折角助けた娘は橋場へ行っているあいだに、向うで男が出来てしまった。家へ帰ってもやっぱり橋場が恋しいので、仮病をつかって熊が出るなんて騒いでいる。しかしその計略がうまく運ばないので、娘もひとりで焦れ込んでいるうちに、内風呂がまた傷んだ。ねえ、そうだろう。