Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
かれらは彼の名を知らないので、冗談半分に誰かが云い出したのが通り名になって、かれらの仲間では先生と呼ばれていた。
喜兵衛と同時に召し捕られたのは、重吉と鉄蔵のふたりで、その白状によって他の六蔵と紋次もつづいて縄にかかった。子分の船頭共もみな狩りあげられた。ただ、かの男とおとわのゆくえだけは当分知れなかったが、それから半月ほど経った後、羽田の沖に女の死骸が浮かびあがった。それはかのおとわで、左の乳の下を刃物でえぐられていた。
「大体のお話は先ずこれまでですが、どうです、その変な男の正体は……。お判りになりましたか」と、半七老人は云った。
「わかりませんね」と、わたしは首をかしげた。
「それはね。上総無宿の海坊主万吉という奴でした」
「へえ、その生魚を食う奴が……」
「そうですよ」と、半七老人はほほえんだ。「九十九里ヶ浜の生まれで、子供のときから泳ぎが上手で、二里や三里は苦もなく泳ぐというので、海坊主という綽名を取ったくらいの奴です。そいつがだんだんに身状が悪くなって、二十七八の年にとうとう伊豆の島へ送られた。十年ほども島に暮らしていたのですが、もう辛抱が出来なくなって、島ぬけを考えた。