Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
七夕には五色のいろ紙に書いて笹竹に下げる。これは普通の色紙でなく、その時節にかぎって市中の紙屋で売っている薄い短尺型の廉い紙きれであるが、この時にも大きい子供はほんとうの色紙や短尺に書くのもある。七月に入ると、手習い子はみな下清書をはじめて、前日の六日にいよいよ其の大清書にかかるのである。それが一種の学年試験のようなもので、師匠は一々それを審査して、その成績の順序を定めるのであるから、子供ごころにも競争心がないでもない。上位の方に択り出されたといえば、その親たちも鼻を高くするのである。きょうはその大清書の日で、甲州屋のお直も紅い短尺に何かの歌を書かされたのであるが、それがひどく出来がわるいというので師匠の小左衛門から叱られた。
お直は手習いの成績はよい方であったが、今度はどうしたものか非常に出来が悪かったので、笹竹のずっと下の方にかけられた。ここの師匠は成績の順序で色紙をかけるので、第一番のものは笹竹の頂上にひるがえっていて、それから順々に、下枝におりて来るのであった。お直は自分の短尺が同年の稽古朋輩のなかでも甚だしく下の方にかけられてあるのを見て、さっきからもう泣き声になっていたところを、更に師匠からきびしく叱られたので、彼女はとうとう声をあげて泣き出した。