Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 201 612 caractères · 405 écrans
これほど強情に、逃げて、逃げて、しかも最後には池に飛び込むという以上、かれは何かの重罪犯人であるらしく思われたので、半七も着物をぬいでいる間もなしに、この寒い夜に水にはいった。
四
不忍池に沈んだ男の姿は容易に見あたらなかった。加勢の手をかりて、かれの凍った死骸を枯れた蓮の根から引き揚げたのは、それから小半の後であった。水練をしらないらしい彼が、この霜夜に赤裸で大池へ飛び込んだのであるから、その運命は判り切っていた。しかし彼の素姓も来歴もわからないので、その死骸を係りの役人に引き渡して置いて、半七は濡れた着物を着換えるために一旦自分の家へ帰ると、お鉄が蒼い顔をして待っていた。
「やあ、お鉄。来ていたのか」
「先程からお邪魔をして居りました」
「そりゃあ、丁度いい。実はこれからお前を呼び出そうと思っていたところだ」
半七はすぐに着物を着かえて、今まで彼女の話し相手になっていた女房を遠ざけて、お鉄を長火鉢の前に坐らせた。
「早速だが、あの男は何者だえ」
「お召し捕りになりましてございましょうか」
「それが失敗ったよ」と、半七は額に皺をみせた。「おれに追いつめられて、とうとう池へ飛び込んでしまった。