Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
それが、このお話の発端です」
男は息が絶えていた。師走の風の寒い一夜を死人のふところに抱かれていた赤児は、もう泣き嗄れて声も出なかったが、これはまだ幸いに生きていた。つい眼と鼻のあいだの出来事であるから、検視のまだ下りないうちに半七はすぐに其の場へ駈け付けてみると、死んだ男のからだには何も怪しい疵のあとは無かった。抱いている赤児にも別条はなかった。しかし半七をおどろかしたのは、その赤児が二本の鋭い牙をもっていることであった。赤児は生まれてからまだ二タ月か三月しか経つまいと思われるぐらいの嬰児であったが、その上顎の左右には一本ずつの牙が生えていた。俗にいう鬼っ児である。この鬼っ児をかかえて往来に倒れていた男――それには何かの仔細があるらしく思われた。近所の人にだんだん問い合わせると、前の晩の夜ふけに彼によく似た男が通りがかりの夜鷹蕎麦を呼び止めて、燗酒を飲んでいるのを見た者があるとのことであった。それらの話から考えると、かれは寒さ凌ぎに燗酒をしたたかに飲んでの前後不覚に酔い倒れて、とうとう凍え死んでしまったのではあるまいかと半七は判断した。かれは木綿の財布に小銭を少しばかり入れているだけで、ほかにはなんにも手掛りになりそうなものを持っていなかったが、半七はその右の手のひらの鼓胝をあらためて、彼はおそらく才蔵