Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
お杉は少しく躊躇しているらしかったが、とうとう思い切って外へ出て来た。二人は大きい榎の木の下に立って、脚もとに遊んでいる鶏をながめながら小声で話し出した。
「姐さん、おまえさんの名はお杉さんというんだね」と、半七はまず訊いた。
お杉はやはり無言でうなずいた。
「わたしは神田の半七という御用聞きだ。今おまえを調べるのは御用だから、そのつもりで何でも正直に云ってくれないじゃあ困る。いいかえ」と、半七はまず嚇して置いて、それから吉見の屋敷の奉公のことを訊いた。
それに対して、お杉は正直に答えた。自分は十七の春から雑司ヶ谷の吉見の屋敷に奉公して、この二月の出代りのときに暇を取って退がったと云った。吉見仙三郎は養子で、家付きの娘お千江と五年まえから夫婦になったが、お千江はとかく病身で、夫婦の仲にはまだ子供もないということも話した。
「おまえは婿を取るために家へ帰ったんだろう」と、半七は笑いながら訊いた。
「そう云って無理にお暇をいただいたのです」
「それでなぜ婿を取らねえ。気に入ったのがねえのか」
お杉はすこし顔を赧くして黙っていた。
「吉見の旦那は時々たずねてくるのかえ」