Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans

Aozora Bunko

「なんだか髪の油臭いような匂いがしましたよ」

「むむ」と、半七はうなずいた。「善昌は尼だ。髪の油に用はねえ筈だ。なんでも油いじりをする奴があの木像に手をつけたに相違ねえ」

「すると、そのお国とかいう女髪結がいじくったかも知れませんね」

「おめえはあの死骸を誰だと思う」

「え」と、熊蔵は親分の顔をながめた。

「おれの鑑定では、あれがお国という女髪結だな」

「そうでしょうか」と、熊蔵は眼を見はった。「どうしてわかりました」

「あの死骸の手にも油の匂いがしている。梳き油や鬢付けの匂いだ。元結を始終あつかっていることは、その指をみても知れる。善昌は三十二三だというのに、あの肉や肌の具合が、どうも四十以上の女らしい。足の裏も随分堅いから、毎日出あるく女に相違ねえ」

「それじゃあお国の首を斬って、その胴に善昌の法衣を着せて置いたんでしょうか」

「まずそうらしいな。お国はゆうべから帰らねえというが、おそらく来年の盆までは娑婆へ帰っちゃあ来ねえだろうよ」と、半七はにが笑いをした。「それにしても、なぜお国を殺したかが詮議物だ。お国を自分の替え玉にして残して置いて、本人の善昌はどこにか隠れているに相違ねえ。