Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 865 caractères · 432 écrans
三
日が暮れると、勘次は相棒の富松をつれて約束通りにたずねて来た。かれらに空駕籠をかつがせて、七兵衛は見え隠れにそのあとに付いて、人通りの少なそうなところを廻ってあるいたが、化け猫らしい娘には出逢わなかった。四ツ(午後十時)過ぎになっても何の変りもないので、七兵衛は幾らかの酒手を二人にやって別れた。
「今夜はいけねえ。あしたの晩もまた来てくれ」
あくる日も二人の駕籠屋は正直に夕方からたずねて来たので、七兵衛はかれらを先に立たせて、ゆうべのように寂しい場所を択んで歩いたが、今夜もそれらしい者のすがたを見付けなかった。
「又あぶれか。仕方がねえ。あしたも頼むぜ」
今夜も酒手をやって駕籠屋に別れて、七兵衛は寒い風に吹かれながら浜町河岸をぶらぶら帰ってくると、駕籠屋のひとりが息を切ってうしろから追って来た。うすい月の光りに見かえると、それは勘次であった。
「親分。大変です。女がまた殺られています」
「どこだ」
「すぐそこです」
一町ばかりも河岸に付いて駈けてゆくと、果たしてひとりの女が倒れていた。廿三四の小粋な風俗で、左の胸のあたりを突かれているらしかった。