Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
「じゃあ、そのお酉というのを、ともかくも呼んで貰いましょう」
呼ばれて、半七の前に出て来たのは、五十四五の正直そうな老婆であった。それと一緒に隣りの荒物屋の亭主も呼ばれた。亭主は喜兵衛といって、ゆうべ一番さきに駈け付けた男である。お酉と喜兵衛の申し立てによると、次右衛門は道楽者の揚がりだけに、近所の人達にも愛想がよく、これまで別に悪い噂もなかった。場所も悪し、店も小さいので、碌々の商売もないのに、毎日かなりの酒を飲むので、暮らし向きは楽でなかったらしい。それでも娘に婿を取れば、自分は左団扇で暮らせるなどと大きなことを云っていた。殊に先ごろお酉にむかって、酔ったまぎれに、こんなことを云った。
「おれは今、大金儲けが眼の先にぶらさがっているのだ。ここでコロリなんぞになっちゃあ堪まらねえ」
娘が不意に死んだので、彼はひどく力を落としたらしく、毎日やけ酒を飲んでいた。そうして、関口屋から弔い金をうんと取ってやると云っていた。その掛け合いもどうにか旨くまとまったらしく、この二、三日は機嫌がよかった。
「ここの家へふだん近しく来る者はねえかね」と、半七は訊いた。