Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
提灯は投げ出されて消えてしまった。素早く手もとへ飛び込まれて、刀を振りまわす余地がないので、相手も得物をすてて引っ組んだ。こうなると双方が五分々々である。殊に岡っ引や手先は手捕りに馴れているので、相手もやや怯んだ。
こういう野原の習いとして、誰が掘ったというでも無しに、自然に崩れ落ちた穴のようなものがある。暗がりで組打ちの二人は、足をすべらせて二、三尺の穴に落ちた。
五
「取り押さえましたか」と、私は中途から口をいれた。それを話す半七老人が眼の前にいる以上、仕損じの無かったことは知れているのであるが、それでも人情、なんだか一種の不安を感じたからであった。
「捕り損じちゃあ事こわしです」と、半七老人は笑った。「まあ、御安心ください」
「そいつはいったい何者です」
「こいつが六道の辻で仇討をした奴ですよ。かたき討をした時に、水野家の辻番へ行って、自分は備中松山五万石板倉周防守の藩中と名乗りましたが、それは出たらめで、実はその近所の一万石ばかりの小さい大名の家来です。自分は伊沢千右衛門、かたきは山路郡蔵、この姓名も出たらめで、本人は野口武助、相手は森山郡兵衛というのが実名でした」