Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
善八、おめえは亀を誘って浅草へ行って、観世物小屋の裏手へ廻って、右と左の出口を見張っていてくれ。おれは客の振りをして、素知らぬ顔で表からはいる。あとは臨機応変だ。あしたの午頃までに間違いなく行ってくれ」
「承知しました」
約束を決めて、その晩は別れた。あくる日はからりと晴れて、又すこし暑くなったが、顔をかくすには都合がいい。半七は日除けのように白地の手拭をかぶって、観世物小屋の前へ来かかると、善八と亀吉はひと足さきに来て、なにげなく小屋の看板をながめていた。勿論たがいに挨拶もしない。半七は眼で知らせると、二人はこころ得て裏手へ廻った。
半七は十六文の木戸銭を払って、唯の客のような顔をして木戸口をはいった。狭い薄暗い路を通って、例の獄門首や骸骨を見ながら、二筋道の曲がり角を左に取ってゆくと、どこかで青白い鬼火が燃えているらしかった。半七も血だらけの細い手に袖をひかれた。姙み女の死骸をまたがせられた。大きい蝙蝠に顔をなでられた。もうここらだろうと思うときに、半七の頬かむりの手拭をつかむ者があった。
髷節を取られない用心のために、半七は髷と手拭のあいだに小さい針金を入れて置いたので、手拭は地頭よりも高く盛り上がっていた。