Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 215 744 caractères · 434 écrans
「生酔だな」と、半七は思った。
それでも念のために、彼は堤を降りて、その男の枕もとへ近よると、男は堅気の町人とも遊び人とも見分けの付かないような風体で、いが栗頭が蓬々と伸びているように見えた。彼はたしかに酒に酔って倒れていたのである。
「もし、おまえさん。まっ昼間から何でこんな所に寝ているのだ」と、半七は近寄って揺りおこした。
他愛なく眠っているようでも、どこか油断が無かったらしく、揺り起こされて男はすぐにはっと眼をあいた。彼は自分の前に立っている半七を見て、俄かに起き直って衣紋をつくろった。そうして、無意識のように両方の袖口を引っ張った。それが法衣の袖をあつかうような手つきであると、半七は思った。
「おまえさんは坊さんかえ」と、半七は訊いた。
「なに、そうじゃあねえ」と、彼は少し慌てたように答えた。「おらあ職人だ」
「めずらしい職人だな。そんな頭で出入り場の仕事に行くのか」
「喧嘩のもつれで、髷を切ったのだ。毛の伸びるまでは、仕事にも出られねえので、よんどころなしにぶらぶらしているのよ」
彼は三十前後の蒼黒い男で、どうも破戒の還俗僧らしいと半七は鑑定した。