Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans

Aozora Bunko

なに、近いところだから造作はねえ、用があったら又出掛けますよ」

「その女衒はなんという奴だ」

「戸沢長屋のお葉です」

「女か」

「亭主は化け地蔵の松五郎といって、女衒仲間でも幅を利かしていた奴ですが、二、三年前から中気で身動きが出来なくなりました。女房のお葉は品川の勤めあがりで、なかなかしっかりした奴、こいつが表向きは亭主の名前で、自分が商売をしているのですが、女の方が却って話がうまく運ぶと見えて、いい玉を掘り出して来るという噂です。年は三十五で、垢抜けのした女ですよ」

「番太郎へ次郎兵衛をたずねて来たのは、そのお葉だな」

「それに相違ありません。あしたすぐに行ってみましょう」

「むむ。今度はおれも一緒に行こう」

あくる朝の四ツ(午前十時)頃、半七と亀吉は小雨の降るなかを浅草へむかった。戸沢長屋は花川戸から馬道の通りへ出る横町で、以前は戸沢家の抱え屋敷であったのを、享保年中にひらいて町屋としたのである。そこへ来る途中、馬道の庄太に逢った。

「いい所で逢った。おめえは土地っ子だ。手をかしてくれ」と、半七は云った。

「なんです」と、庄太も摺り寄って来た。

あらましの話を聞かされて、庄太は笑った。