Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans
半七はうしろから呶鳴った。
「石町の金蔵、待て。半七の眼にはいった以上は逃がさねえぞ」
日が暮れると、ここらに往来は少ない。逃げる者は路をえらばず、田や畑のあいだをぐるぐると逃げまわって、穴八幡の近所へ来た頃には、あたりは全く暮れ切った。男は暗い女坂を逃げのぼるので、半七も根よく追って行ったが、坂上の手水鉢のあたりで遂にその姿を見失った。
こうと知ったら、市蔵の子分に送らせて来ればよかったと、今さら悔んでももう遅い。きょうは半七に取って、暦の善い日ではなかった。そこらの大樹の上で、彼を笑うような梟の声がきこえた。
六
「器量の悪い話をいつまで続けても仕方がありますまい。もうここらで御免を蒙りましょうか」と、半七老人は笑った。
「でも、ここまでじゃあ話が判りません」と、わたしは云った。「そこで、その金蔵はどうなりました」
「わたくしは穴八幡からすぐに戸塚の市蔵のところへ行って、植新へ立ち廻った奴は金蔵に相違ないと知らせると、それと云うので市蔵をはじめ、子分総出で探索にかかったのですが、金蔵のゆくえはどうしても知れないので、みんなむなしく引き揚げました。