Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 196 831 caractères · 396 écrans
二人はとなりの黒沼の門を叩くと、妻のお富も娘のお勝も玄関に出て来た。かれらも意外の報告におどろかされて、直ぐに其の場へ駈け付けることになった。主人のほかには男のない家であるから、お富とお勝が出て来た。
男ふたりと女ふたり、四つの提灯の火は夜風にゆらめきながら、凍った道を急いで目白坂下へゆき着くと、彼等よりも先きに医者が来ていた。医者はもう蘇生の見込みはないと云った。
しかし伝兵衛の死因は不明であった。身内になんの疵らしいものも見いだされず、さりとて急病ともおもわれず、まことに不思議の最期であると、医者も首を傾げていた。刀に手をかけていたのを見ると、なにか怪しい物にでも出会って、異常の驚愕か恐怖のために心の臓を破ったのではあるまいかと、医者は覚束なげに診断した。寺の住職も先ずそんなことであろうと云った。長八親子は途方に暮れたように歎息した。お富は泣き出した。
「さて、これからだ」
長八は膝に手を置いて、その太眉を陰らせた。長三郎も薄々あやぶんでいた通り、これが表向きになると黒沼の家に疵が付かないとも限らない。死んだ者は余儀ないとしても、その家の跡目が立たないようでは困る。