Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

元八はもう相手の身分を承知しているらしく、なんとなく落ち着かないような顔をして、半七の眼色をうかがっていた。

「おめえはここへ何しに来たのだ」と、半七は先ず訊いた。

元八は黙っていた。

「おれ達のあとを尾けて来たのか。緑屋の爺さんから何か聞いたので、あとを尾けて来たのだろう。それともこの寺に何か探し物でもあるのか。おめえも小博奕の一つも打つ男だそうだから、人の前で物が云えねえ程のおとなしい人間でもあるめえ。はっきりと返事をしてくれ」

元八はやはり黙っていた。

「じゃあ、まあ、その詮議はあと廻しにして、これから俺の訊くことに応えてくれ」半七は重ねて云った。「緑屋の爺さんの話を聞くと、おめえは十五夜の晩に田圃をあるいていると、頬かむりをした若い女に逢って、それを神明さまの近所まで送って行く途中で、おめえがその女に悪ふざけをした。そこへ二人の虚無僧が出て来て、おめえはひどい目に逢わされた。話の筋はまあそうだね。それからおめえは三人のあとを付けて行くと、三人はこの寺へはいった……。そこで、おめえはどうした」

「帰りました」と、元八は低い声で答えた。

「寺へはいるのを見届けただけで、すぐに帰ったのかえ」