Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
犯人が何者であるか判然したのは、その翌々年、即ち安政四年のことであって、その当時は全く目星が付かない。江戸城内の勝手を知っている番士またはその家来どもの仕業であるか、或いは町人どもの仕業であるか、その判断にも苦しんでいた矢さきであるから、少しの手がかりでも見逃がすことは出来ないのである。いずれにしても、江戸城内に忍び入って金蔵を破るほどの大胆者である以上、彼らにも相当の覚悟がある筈で、右から左にその大金を湯水のように使い捨てるような、浅はかな愚かなことはしないであろう。恐らく何処にか埋め隠して置いて、詮議のゆるんだ頃にそっと持ち出すという方法を取るであろうとは、何人も想像するところであった。
さてその金をかくす方法は、まず自宅の床下に埋めて置くのが普通である。次は他人の眼に付かないような場所を選んで、なにかの眼じるしを立てて埋めて置くのである。これは誰でも考えることで、今度の犯人もその一つを択んだであろうと察せられるが、そのほかの方法はその小判を鋳潰して地金に変えてしまうことである。通貨をみだりに地金に変えることは、国宝鋳潰しの重罪に相当するのであるが、すでに金蔵を破るほどの重罪犯人であれば、そのくらいの事は憚る筈もない。