Classiques japonais avec furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans
それが即ちお糸の一件です。
草履屋に鯉のあることをお糸がどうして知っていたかと云うと、この富蔵の口から聴いたんです。その前の晩、近所の女髪結の家の二階でお糸と富蔵とが逢った時、富蔵はいろいろの話のうちに、草履屋の藤吉が江戸川のむらさき鯉を内証で持ち込んで来ることを話しました。まだそればかりでなく、藤吉がだんだんに増長して、なにしろ御法度破りの仕事だから、今までのように一尾二分では売られない、これからは一尾一両ずつに買ってくれと云い出したが、宇三郎は承知しない。現にきょうもその捫著で、藤吉は一尾を売らずに帰ったという話をしたので、草履屋の家に一尾の鯉のあることをお糸は知っていたのです。お糸もその時は何の気無しに聴いていたんですが、その明くる晩に旦那の高山が同役を連れて来て、前に云ったようなわけで紫鯉の話が出ると、お糸は不図ゆうべの富蔵の話をおもい出した。ここで一番自分の腕を見せてやろうという料簡になって、その鯉をすぐに取って来ようと安請け合いに受け合った。当人の腹では、色男の富蔵にたのんで、藤吉から売って貰うつもりであったんですが、あいにくに富蔵はどこへか出て行った留守で、川春の店にいない。