Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 217 272 caractères · 434 écrans

Aozora Bunko

異人でもマドロスでも構わねえ、銭のある奴は相手にして、ふところを肥やすのが当世かも知れねえ」と、松吉は笑った。

「まあ、そうかも知れませんね」と、女中も笑っていた。

「その坂井屋さんにお糸という女はいねえかえ」と、半七は突然に訊いた。

「お糸さん……。居りましたよ」

「もういねえかえ」

「ええ、先月の末から見えなくなって……。どっかへ駈け落ちでもしたような噂ですが……」

半七と松吉は顔をみあわせた。

「坂井屋じゃあ異人を泊めるのかえ」と、半七はまた訊いた。

「泊めやあしません。坂井屋は宿屋じゃありませんから……。それに異人は船へ帰る刻限がやかましいので、その刻限になるとみんな早々に帰ってしまうそうで……。どんなに酔っていても、感心にさっさと引き揚げて行くそうです」

「そんなに金放れがよくっちゃあ、今も云う慾の世の中だ。その異人に係り合いでも出来た女があるかえ」

「さあ、それはどうですか。いくら金放れがよくっても、まさかに異人じゃあ……」と、女中はまた笑った。「誰だって相手になる者はありますまい」

「手を握らせるぐらいが関の山かな」と、松吉も笑った。「それで一歩も二歩も貰えりゃあいい商法だ」