Classiques japonais avec furigana
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ちえこのはんしょう
智恵子の半生
高村 光太郎
Lisez 智恵子の半生 (ちえこのはんしょう) de 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 697 caractères · 25 écrans
症状一進一退。彼女は最初幻覚を多く見るので寝台に臥しながら其を一々手帳に写生していた。刻々に変化するのを時間を記入しながら次々と描いては私に見せた。形や色の無類の美しさを感激を以て語った。そうした或る期間を経ているうちに今度は全体に意識がひどくぼんやりするようになり、食事も入浴も嬰児のように私がさせた。私も医者もこれを更年期の一時的現象と思って、母や妹の居る九十九里浜の家に転地させ、オバホルモンなどを服用させていた。私は一週一度汽車で訪ねた。昭和九年私の父が胃潰瘍で大学病院に入院、退院後十月十日に他界した。彼女は海岸で身体は丈夫になり朦朧状態は脱したが、脳の変調はむしろ進んだ。鳥と遊んだり、自身が鳥になったり、松林の一角に立って、光太郎智恵子光太郎智恵子と一時間も連呼したりするようになった。父死後の始末も一段落ついた頃彼女を海岸からアトリエに引きとったが、病勢はまるで汽缶車のように驀進して来た。諸岡存博士の診察もうけたが、次第に狂暴の行為を始めるようになり、自宅療養が危険なので、昭和十年二月知人の紹介で南品川のゼームス坂病院に入院、一切を院長斎藤玉男博士の懇篤な指導に拠ることにした。