Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くらがりのおとまつ

暗がりの乙松

山本 周五郎

Lisez 暗がりの乙松 (くらがりのおとまつ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 992 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

「それから、ここに三十両ばかりござんす、こりゃあ博奕で儲けた金、けっして御迷惑にはなりませんから、どうかお遣い捨てなすっておくんなさい」

「まあお前さん、そんなことを」

慌てて嘉兵衛が出て来るのを、三次は素早く二三間とび退いて、

「蔭ながら、御繁昌を祈ります」

と云うとそのまま踵を返して百合畑の中へ、逃げ込んで来ると、梅田屋の乙松は――杉林のはずれに腕組をして佇んでいた。

「親分――じゃあねえ梅田屋さん」

三次の眼は活々と輝いている、「あっしゃあ、生れて初めて、腹の底からさっぱり致しました。お前さんにも子分にしてくれと頼んだが、改めて今取消しだ」

「――ふふ、そうかえ」

「会わねえ昔と思っておくんなさい、これでお別れ申します」

「どこへ行くんだ」

三次は答えずに歩きだした。

梅田屋はその後姿を見送っていたが、――嘉兵衛親娘の歓喜する声を聞くと、にっこり頷いて杉林を出る、足早に三次の後を追いはじめた。丘の上の道は左へ曲って、修善寺へ通う裏街道へと続いている――中天へ昇った月がよく冴えて、道傍に咲いている雨降り牡丹の花が、白く夢のように浮いて見えた。

「どこへ行くんだ、若いの」