Classiques japonais avec furigana
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つきとあざらし
月とあざらし
小川 未明
Lisez 月とあざらし (つきとあざらし) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 817 caractères · 8 écrans
それほど、世の中には、あざらしばかりでなく、子供をなくしたり、さらわれたり、殺されたり、そのような悲しい事件が、そこここにあって、一つ一つ覚えてはいられなかったからでした。
「この北海の上ばかりでも、幾ひきの子供をなくしたあざらしがいるかしれない。しかし、おまえは、子供にやさしいから一倍悲しんでいるのだ。そして、私は、それだから、おまえをかわいそうに思っている。そのうちに、おまえを楽しませるものを持ってこよう……。」と、月はいって、また雲のうしろに隠れました。
月は、あざらしにした、約束をけっして忘れませんでした。ある晩方、南の方の野原で、若い男や、女が、咲き乱れた花の中で笛を吹き、太鼓を鳴らして踊っていました。月は、この有り様を空の上から見たのであります。
これらの男女は、いずれも牧人でした。もうこの地方は、暖かで、みんなは畑や、田に出て耕さなければなりませんでした。一日野らに出て働いて、夕暮れになると、みんなは、月の下でこうして踊り、その日の疲れを忘れるのでありました。
男どもは、牛や、羊を追って、月の下のかすんだ道を帰ってゆきました。女たちは、花の中で休んでいました。